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 ワイアナエ地区の小学校にみるハワイの裏側と現実

ハワイは主要8島を中心に多くの島々からなる州ですが、そのなかでもっとも経済的に発展し、人口も多く、州政庁やホノルル国際空港もあるのが、本島のオアフ島です。
ワイキキビーチやホテル街、大型ショッピングセンターで有名なホノルルがあり、またそこから離れてもきれいなビーチ、さまざまな博物館や美術館、観光施設がたくさんあります。

そんなオアフ島にも、観光客がまず知ることのない地域がいくつかあります。今回は観光客で賑わうワイキキ地区から H-1 Freeway を使って2時間弱、オアフ島西側の海岸一帯の地域、「ワイアナエ地区」に行ってみました。ここに住んでいる人の約9割は国からの援助を必要としているそうです。

このワイアナエ地区に、「ナナクリ」という小さな町があります。ここにある「マイリ小学校」を訪問し、日系4世の先生からいろいろなお話を聞かせていただくことが出来ました。
(取材日:2006年4月4日)


本ページ中に出てくる子どもたちの写真には、子どもたちの身体的安全を確保するために加工が施してあります。 一般に許可なく子どもを撮影することは日本に比べて非常に厳しい態度で対応され、訴えられることすらあります。これは身内や他人による子どもの誘拐や、その他暴力的犯罪を誘発する原因となってしまうからです。

 

 全校生徒は800人少々、ホームレスの子どもも通学

マイリ小学校は、オアフ島西側の海岸線なかほどにあるナナクリという町にあります。海岸線を走るフェアリントン・ハイウェイから少し住宅街を入っていったところにある静かな環境の中、取材時で約850人の子どもたちが勉強していました。
このうち100人以上はホームレスの親を持つ子どもたちで 、テントの「自宅」からこの小学校に通っています。片親の子どもも少なくありません。

マイリ小学校(763人)
生活保護を受けている生徒 86.1%
特殊学級に属する生徒 15.0%
非識字率 8.4%
大学進学率  5.0%
 ※大学に進んだ者のうち卒業するのは1%にも満たない
KONISHIKI KIDS FOUNDATION の調査による

運動場は広く、のびのびと屋外で遊ぶ子どもたちの表情は、世界中のほとんどの場所で見られるように、屈託のない、底抜けに明るい表情でした。

先生方もいろいろで、ちょっとみたところでも白人系、ハワイアン系、アジア系、日系とさまざまな人種の人たちがいて、車椅子の先生も見かけました。休み時間も車椅子の先生の周りには子どもたちが5〜6人群がっていました。

オフィスには、マイリ小学校のマークが入ったTシャツが展示・販売されていました。これらの売上は子どもたちのためになるのかもしれません。

 

 日系4世のナカノ先生

はじめは白人系の男性の先生、アジア系の女性の先生と3人で話していたのですが、日系の先生がいるというので紹介していただきました。

カルヴィン・ナカノ先生は日系4世だそうで、カタコトの日本語が話せます。
4世というと、きっとすっかりアメリカ人、ハワイローカルのものの見方や考え方になっているのではないかと想像していたのですが、意に反して
「最近のニッポンの若いもんは...」的な発言を聞き、ちょっとビックリするような、しかし安心できるような気持ちになりました。

「自分の体の中には日本の血が流れている。特にメインランド(米本土)に出かけたときなど、まざまざとそれを実感するんです」

「最近の日本人、特に若い人たちは、なぜか西洋風の生活や考え方を表面的な部分だけ真似て満足しているようだけど、これは自分(たち)にはアイデンティティなどないのだと主張しているのと同じです。
日本には西洋人がうらやむ、すばらしい生活習慣や文化があります。しかしなぜかそれを捨てて西洋風を真似たがる。表面的には西洋人ウケするでしょうけど、反面、自分というものが確立されていない人、民族なのだと軽く見られてしまっていることも知っておかねばなりません」


こどもたちは、自分たちの学校生活、校外活動の様子をビデオにまとめ、ビデオコンテストにも参加しているそうです。少し拝見させていただきましたが、なかなかうまくまとまっており、学校生活の様子がよくわかりました。

ナカノ先生のデスクがある場所はパソコンが並ぶ教室です。
DELL のハイスペックマシンを中心に30台ほどのコンピュータが並んでおり、なかなか充実した情報教育の環境が整っています。

 

 KONISHIKI KIDS FOUNDATION
 (小錦・子ども基金)

KONISHIKI KIDS FOUNDATION」は、大相撲で活躍した小錦関が1996年に創設した基金で、自分の出身地であるオアフ島ワイアナエ地区の子どもたちが、夢を持って大きく成長できることを願って設立しました。

毎年1回(たまに2回)、ワイアナエ地区の各学校から代表の生徒を日本へ招待し、相撲部屋や江戸東京博物館を訪れたり、生け花などを体験して、さまざまな日本文化を感じ取ってもらう活動をします。そしてそのなかから、夢を持つこと、家族を大切にすること、学校に行くことの大切さ、進学することの大切さを教えています。

ワイアナエ地区は経済的に困窮している生活者が多く、子どもたちも満足な教育が受けられないのが現実です。教育が十分でなければ将来の生活に大きな影響が出ます。
片親がいない家の子、子どもが7人8人といるのに収入があるのは片方の親だけという家、表からは見えにくい麻薬の蔓延など、この地区はさまざまな問題を抱えています。
中学校を卒業しても高校に行けず*1、働きに出る子どもは決してめずらしくありません。

しかし、ここの出身者である KONISHIKI さんは、高校卒業後日本に渡り大相撲で大関の地位にまで上り詰め、日本に帰化。大きな夢をつかみました。いま KONISHIKI さんは、出身地の子どもたちに夢をつかんでほしいと願い、この活動を進めています。


*1
ハワイ州では18歳までが義務教育です。アメリカ合衆国では、このほかカリフォルニア、オハイオ、オレゴン、テキサス、ユタ、ウィスコンシンなどの13州でも同様ですが、他の州では16歳まで、17歳までといった違いがあります。
(参考:Digest of Education Statistics

KONISHIKI さんは地元ハワイの名士であり、多くの人々から尊敬されています。 また元警察官である彼の父親も、国連におけるスピーチを行うなどの活躍をしています。しかし決して気位の高い人物ではなく大変フレンドリーで、「息子は日本人のおかげでここまでになれた。日本の人たちに恩返しをしなければならない」と語っているそうです。

 


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