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 2008/5/4
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 日本人がハマる米国の銀行のしくみ
(1)十分な残高があっても、知らぬ間にゼロになる!?

米国に預金口座を開設する方も少しずつ増え始めているようです。しかし十分気をつけていないと、知らないうちに預金残高がゼロになっていたり、「休眠口座」の状態に置かれてしまうことがあります。

 

 今や常識?「口座維持手数料」

本論に入る前に、「口座維持手数料」についてお話ししておきましょう。
日本でも銀行によって、また取り扱い商品によって「口座維持手数料」なるものが存在しています。これは、一定の預金残高より少ない場合は、手数料を差し引くというしくみです。

たとえば、30万円の残高がある時は問題ないのだけれど、お金を使ってしまい残高が10万円を切ると、手数料が口座から自動的に差し引かれていく、ということです。
このまま預金残高が10万円を超えることなく時間がたってしまうと、結果として預金残高はゼロになってしまうわけです。

日本のほとんどの銀行はこのような仕組みをとっていませんが(存在していても実質的にないのと同じ場合もある)、米国の銀行では常識となっています。米国の預金口座については、最低残高を下回ることがないように注意しておく必要があります。

それでは残高がじゅうぶんにあれば安心かというと、そうとも限りません。この場合でも残高がゼロになってしまうことがあるのです。
さきほどの口座維持手数料のほかに、「休眠口座の制度」、「米国政府への税金」、「州政府管理への移行」、がこのあとのキーワードとなります。

 

 「Inactive Fee」 とはなにか

米国の預金口座は、一定期間入出金などの取引がないと、休眠状態になってしまいます。この状態を Inactive と呼んだりします。Inactive になると、この口座を利用しての取引は不可能となるとともに、Inactive Fee が発生します。

たとえばハワイの銀行に口座を開設し、じゅうぶんな残高を入れておいたとしても、一定期間なんの取り引きもおこなわないでいると、自動的に Inactive 状態となり、着々と手数料「Inactive Fee」が引かれていきます。さらにこのあと、先ほどの一定残高を下回った場合は口座維持手数料も加算され、一気に残高はゼロとなってしまうのです。

「一定期間」がどれくらいかは銀行によって違うようですが、Savings (普通預金)と Checking (当座預金)では違いがあるようです。Savings なら3年間、Checking なら2年間という銀行もあります。

 

 米国政府への税金免除は3年更新

米国に預金口座を作った経験のある方なら記憶があるかもしれませんが、我々日本人は米国の「非居住者」なので、米国政府への税金支払いが免除されます。

本来、米国で得た利子や配当には、米国政府によって Withholding Tax (ウィズホールディング・タックス)とよばれる源泉徴収税が課されます。しかし、非居住者の場合はこれを免除するという特例があるため、日本在住者はほとんどの場合、口座開設時にこの免除申請の書類 W-8BEN を書いているはずです。
(→ W-8BEN の書式

ところがこの免除制度には有効期限があり、3年ごとに再申請をしないと、銀行は税金分を差し引き、預金者に代わって米国政府へ納税をしなければならなくなります。

このような有効期限が設けられているのは、以前に非居住者であったとしても、3年後には米国居住者になっているかもしれないからです。3年に1度、非居住者であることを主張(申請)しておかないと、税金が差し引かれるということなのです。

 

 Inactive のあと5年経つと州政府の管轄下に移行される

預金口座が Inactive な状態になってしまったら、さっそく銀行と連絡を取って、Active な状態に戻すようにしたほうがよいでしょう。もしも Inactive の状態、すなわち休眠口座の状態で5年を経ると、預金が(ハワイの場合は)ハワイ州政府の管理下に置かれます。つまり、銀行は基本的には関与できない状態となってしまうわけです。

こうなってしまうと、預金を取り戻すにはかなり面倒な作業を強いられることになります。一般的には現地の弁護士を雇い、書類を整え、正当な手続きと期間を経ないと預金は手元に戻ってきません。 もちろんそのための手数料や弁護士報酬もかかってきますから、トータルで考えるとかなり損をしてしまいます。

イザというときにための隠し預金?というようなつもりで、米国口座にお金を寝かせていても、ほうっておけばゼロになってしまうことがあります。日本の銀行などとはちょっとちがう、しかし重大な注意点がここにあるのです。

 

 それではどうすればいいのか

「いったい、なんでそんな意地悪なしくみなんだ」
と思われるかもしれません。しかしこれも突き詰めると、日本人があまり経験してこなかった「自己責任原則」にたどりつくことになるのではないか、と筆者は思っています。

じつは、これまで述べてきたような預金口座の状況については、銀行はきちんと預金者の住所へステートメント(文書)を郵送しています。しかし、それをきちんと読まない(あるいは読めない)ことがすべての発端なのです。

日本の感覚ではつい、
「銀行に預けておけば特に何もしなくても大丈夫。残高が増えこそすれ、減ることは絶対にない」
と信じ込んでしまいます。ましてや、いつの間にか休眠口座になってしまうとか、残高がゼロになってしまうとか、州政府の管理下に置かれてしまうなどとは想像もつきません。

米国の銀行口座の管理は銀行が行うのではなく、自分が行うのだと考えておいたほうが現実的です。もちろん、銀行口座の管理は銀行が行っているわけですが、一定期間ごとに送付されてくる資料を理解せずに放っておくと、預金者はその文書を了解したということになります。たとえば、そこに書いてある取引履歴や預金残高が仮に間違っていたとしても、預金者がそれを銀行に対して指摘しない限り、そのまま通ってしまうということです。

米国の銀行と付き合うなら、やはりその流儀を知ってきちんと自己責任で管理していくという心構えが必要です。

 

 日本人が知らない経済と金融の世界

筆者は、Microsoft Money というソフトウェアが、日本では知名度が低いことも思い浮かびます。これは個人資産を管理するためのソフトウェアです。日本語バージョンも発売されて久しいのですが、日本で販売数が伸びないのは当然のような気もします。

日本ではお金のことをあからさまに話題にすることは、みっともないことと考えられたり、投資や運用によって利益を得ることを悪と捉える風潮が根強いからです。そのため資産管理や運用といったことについて、日本人はアメリカ人ほど関心も知識も高くありません。そもそも金融教育といったものがほとんどゼロのお国柄です。

銀行は、世界中どこでも同じ考え方で付き合っていけるわけではありません。極端な話、イスラム圏の銀行は資本主義国の銀行とは根本的なポリシーからして違います。
これまで述べてきたように、おなじ資本主義国である日本と米国であっても、その違いを知って上手につきあっていく必要がありそうです。

 


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