44番ゲートを入る。ボーディングブリッジで航空会社職員による手荷物検査が行われている。会議室で使うような机を2〜3台並べ、全員の荷物を開けてのチェックだ。これもテロ後に設けられたセキュリティチェックだ。何であろうと鋭利な部分を持つ金属は持ち込みできない。
さて、座席は38C。左隣の38Aと38Bは空席だ。搭乗率は見たところ80%ぐらいだから、ラッキーといえるだろう。今夜は横になって眠れそうだ。
ノースウェスト22便は、タキシング(地上走行)のあと滑走路に入り、停止することなくそのまま加速しだした。V1,
Vr, V2 。いつも離陸は心地よい緊張感に包まれる。
V1
とは、この速度を超えたら安全に離陸を中止できない速度のことだ。たとえ何らかのトラブルが発生したとしても、とにかく離陸してから対処することになる。ブレーキをかけても、もはや滑走路で停止できるスピードではないのだ。
Vr は機首を引き起こして離陸可能な速度。そして
V2 は安全に上昇し続けられる速度のことだという。いずれも機種や総重量、天候や滑走路の状態などで変化する。コックピットでスピードメータを読む副操縦士の姿が想像された。
客席前方にあるスクリーンに、飛行機の現在位置が映し出される。
いったん新潟方向に向かい、そして右に旋回した。
水平飛行になると、すぐにミール・サービスが始まった。
たしかノースウェストは「うなぎご飯」と「ビーフ照り焼き」を選べたはずだと思ったが、ビーフが配られた。
食後は映画上映。アメリカ映画に中国語の字幕だ。しかし今回は日本語の吹き替えがあった。ヘッドフォンで聞く。
機内泊の寝酒用に、いつものスコッチ・オンザロックを頼む。男性のアテンダントは、ナッツを山ほど持ってきてくれた。
おかわりを別の女性アテンダントに頼むと、おかわりに加えてジョニ黒のミニチュアボトルも持ってきてくれた。都合3杯飲んだことになる。
たびたび呼ばれるのがメンドウなのか、それともよっぽど「呑み助」に見えたのか。そういえば、このミニチュアボトル、PET
ボトルのようだ。

無事、ホノルル国際空港に到着。
機を降りると、ボーディングブリッジのところで、もうハワイのムワッとした空気の肌触りとにおいがした。「帰ってきた」ような気になった。
例によってすぐに、エスカレータの直前でパスポート提示。エスカレータを上がると WIKI WIKI BUS 乗り場だ。クルー(乗務員)の写真を撮らせてもらう。
入国審査場に下りていくエスカレータの手前で、ガードマンに
「カメラはバッグに入れて!」
といわれる。もちろん審査場は撮影禁止だが、いつもはここに警備員などいないし、そんなことも言われたりはしない。テロ後の警戒ということだろう。
入国審査場はガランとしていた。いつもは大声を出している誘導係のムームーおばさんも「好きな窓口に行けばぁ」ってな表情である。
銀行の ATM
待ち行列などでお目にかかる、ジグザグの行列を作るための柵を通っていくと、アミダくじでもやっているかのように審査官のブース前に出る。
いかん。女性審査官だ。
以前来たとき、女性審査官とは相性が悪くて困ったことがあった。
「家族は連れていないの?」
という質問はいいとして、
「今日は何の仕事?」
とか、一応向こうさんも引っ掛け問題を出してくる。
なんとか今回はスムーズだった。
エスカレータを降りて税関台へ進む。預けた荷物はないのでターンテーブルへは寄らない。さて、ここでは入念な荷物検査だ。山ほど荷物を持った人がノーチェックで通過しているのに、私の場合はカバンを開け、中をチェックされる。職業は何だと聞かれ
「Truck
Driver」
と答える。
「ギアは何段シフトだ?」
「6段くらい」
そんなやり取りをしつつ、なぜか私のときだけ、コンピュータでデータ照会している。まさか
FBI の犯罪者リストに載ってるわけもないだろうが。
そんなに怪しいですか?私。
個人旅行者用出口から表通りへ出る。
ぐるっと回って団体用出口をのぞいてみたが、案の定、閑散としていた。出迎えの団体用バスなどもほとんどといってよいほど見かけない。
いつもなら大勢の団体客や現地係員、何台ものツアーバスなどでごった返している時間帯なのにだ。
出発ロビーも同じ。空港を一回りしただけでハワイの状況がわかるような気がする。聞くところによると、ハワイでは失業手当のアプリケーション(申請)をした人が3万4千人にのぼったとか。ハワイでは、生活のためだけに3種類の仕事を掛け持ちしている人も少なくない。そんな中で、収入が一定水準を切らない人たちは手当ての申請資格すらない。被害は甚大といえそうだ。
空港内のショップも、軒並み売上は半分以下になっているとのこと。
客足が減ったことによる航空会社のフライト・カットの影響だ。
ホノルル空港も朝方と夕刻以外の時間帯は人気も少なく、そのため昼には店を閉めてしまうところも少なくない。
ちなみに JTB は毎日4ケタの観光客を JAL
の翼に乗せてハワイに送り込んでくるが、先日は2ケタだったという。お話にならないといった表情でショップオーナーが語ってくれた。そういえば、テロ後に仙台からホノルルに着いた
JAL 便の乗客は、わずか7人だったという話をニュースで聞いた。
秋口は、収穫を終えて一段落した農協関係のツアーが多いのだそうだが、それがほとんどすべてキャンセルとのこと。
若い日本人女性に大人気の政府公認免税店、DFS
ギャラリアは、今春大改装を終えたばかりなのに、全フロアの1日の売上を合計しても、7,000ドルに満たないそうだ。
「昼は観光、夕刻からショッピング」というのが、上手な動き方だと書いてあるガイドブックもあった。しかし早仕舞いする店が少なくないこの状況では、そうもいっていられないようだ。