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 3G ケータイを使う

このコラムでは、第3世代携帯電話(「3Gケータイ」とも)について触れていきたいと思います。 そしてそれが、ハワイ旅行のシーンでどう関係してくるのかについて解説していきます。
まず、言葉の意味を、ざっと理解しておきましょう。


第3世代携帯電話とは

  1. W-CDMA 方式または、CDMA 2000 という、新しい方式の電波を使って通信する、最新式の携帯電話
  2. 電波方式が世界標準規格なので、海外で日本国内同様のサービスが受けられる(一定の制限あり)
  3. 音声通話は当然として、大きな情報量のデータをやり取りするのに向いているので、テレビ電話も実現できる
*1

日本においては NTTドコモと Vodafone が W-CDMA 方式を採用。
au は CDMA 2000 方式を採用している。
どちらの方式も、世界標準 IMT-2000 規格のなかのひとつ。
日本では3Gケータイがそこそこ普及してきたが、世界的にはまだまだである。

それでは、第3世代携帯電話をハワイで使うということについて、基本からゆっくりとみていきましょう。

 

 日本とハワイで携帯電話をつかう

素朴な疑問として、いつも日本で使っている携帯電話が、なぜハワイでは使えないのか、ということがあります。
そもそも携帯電話は、電話機である前に、無線機であるということが大きな特徴です。じつは日本とハワイで、携帯電話が使っている電波の種類が違うため、このようなことがおこるのです。

日本でいま、もっとも普及している携帯電話は、第2世代携帯電話です。技術的にいうと PDC 方式というものです。この PDC 方式は日本独自の電波方式であるため、海外へ持っていっても、まったく使えないのです。じつはいま、世界中でいちばん普及している電波方式は、おなじ第2世代でもまったく別の GSM という方式なのです。GSM 方式は以前から、日本と韓国以外の多くの国や地域で普及しています。


そこで第3世代携帯電話、つまり「3Gケータイ」の出番というわけです。3Gケータイなら、世界標準の電波方式を利用しているため、第2世代のような問題はほとんど起きません。

ところが現実には、3Gケータイに対応している携帯電話事業者、サービスエリアは世界を見渡してもまだまだ少なく、3Gだからといって安心するわけにはいきません。 3Gの電波が「流れて」いる場所が少ないということです。
さらに、GSM が普及しているところでは、すでに GPRS という技術を使って、インターネット接続等のデータ通信(メールやWeb)が可能となっています。日本のように、国民的なひろがりで高速通信の需要があるわけでもないところでは、携帯電話会社としても、3G用の設備投資に熱心になれないという側面もあります。


それではどうするか。
話は単純で、多くの方式に対応できる「全部入り」携帯を作ればよいわけです。

  1. 世界中で一番普及している第2世代 GSM 方式
  2. GSM におけるデータ通信技術である GPRS 方式
  3. 第3世代の W-CDMA または CDMA 2000 方式

最新の第3世代の電波がある場所ではそれに対応し、そうでないところでは、第2世代の GSM, GPRS 方式で対応しようというわけです。

このような、まったく異なるふたつの電波に対応する電話機は、「デュアルネットワーク端末」と呼ばれます。
ちなみに GSM には、900MHz, 1800MHz, 1900MHz と、おもに3種類の周波数帯があり、このすべての周波数に対応している端末は「トライバンド機」と呼ばれます。

ハワイは GSM 1900MHz の地域であり、GPRS によってデータ通信(インターネット接続)が可能な場所です。

*2

世界で一番普及している第2世代携帯電話の方式は GSM だが、じつは周波数が850/900/1800/1900MHz、の4種類ある。ハワイも含めて北米では1900MHzであり、北米とごく一部の地域で 850MHz が使われている。
GSM ケータイの最大のメリットは、世界の多くの国々でおなじ端末を使えることである。ゆえに、複数の周波数帯に対応できる端末が多い。

*3

日本独自の規格である PDC 方式が「変わり者」だったのだという理解は、ちょとちがう。i モードという画期的なサービスを生み出せたのも、安易に「世界標準」に迎合しなかったことが大きな理由だ。日本の一般庶民が日常、これほど低コストで高テクノロジーを使いこなしていることは、世界的にも驚異である。
このあたりのことについては是非、「グローバルスタンダードと国家戦略」を読んでいただきたい。

「グローバルスタンダードと国家戦略」
坂村健著/NTT出版/ISBN4-7571-4100-9/2,300円+税


現在、日本国内の携帯電話事業者(主要3社)の、第3世代携帯電話の電波方式は、下表のようになっています。

携帯電話
事業者
第3世代ケータイの
電波方式
第3世代ケータイの
製品・サービス名
NTT DoCoMo W-CDMA FOMA
vodafone W-CDMA vodafone 3G
au (KDDI) CDMA 2000 1x CDMA 1X

 

 携帯電話の国際ローミング

さて、話は少々かわって、「国際ローミング」という言葉に触れていきます。国際ローミングとは、

  1. おなじひとつの「契約」で、国内と海外で利用できること
  2. おなじひとつの「携帯電話機」で、国内と海外で利用できること

を意味します。

日本からハワイへ旅行する場合、いつも使っている携帯電話事業者(ドコモ、vodafone、au)に申し込めば、ハワイで使える携帯電話機(GSM 1900MHz 機)をレンタルしてくれるだけでなく、自分の携帯電話番号に着信した電話を、ハワイまで転送してくれます。そしてその際にかかるいっさいの費用を、毎月の携帯電話料金と一緒に請求してくれます。しかし、これはあまり便利とはいえません。


つぎに、日本で使っている携帯電話の中にある、「契約者情報」を、現地用の携帯電話に「差込んで」使う、という方法があります。

たとえば、ドコモの第3世代携帯電話 FOMA では、電話機の裏蓋を開けると、切手大より小さい IC カードが挿入されています。このカードには、契約者情報やアドレス帳の情報が書き込まれています。

つまり、電話機そのものは現地用のものを借りる(または購入する)わけですが、このカードを差し込むことによって、あたかも自分の携帯電話のように使える、ということになるわけです。
これを「チップ・ローミング」または「プラスチック・ローミング」といいます。

第3世代携帯電話に入っている IC カードは、 UIM カード*4といい、回線契約情報が記録されています。つまり、電話機本体と回線契約情報 を分離できることになります。このようなしくみは以前から第2世代の GSM ではあたりまえのことでした(SIM カード)。
しかし日本では、携帯電話事業者との契約と、電話機の購入が一体になっているため、SIM カードや UIM カードというものになじみが薄いわけです。*5

*4

SIM カードと UIM カード
SIM カード(Subscriber Identity Module)は、第2世代携帯電話のうち GSM 機の本体に挿入して使用する IC カード。利用者と携帯電話事業者との契約情報が記録されている。
第3世代携帯電話では SIM の機能をさらに拡張した UIM カード(User Identity Module) が使われている。アドレス帳データや決済用クレジットカード情報を暗号化して記録しておくことが出来る。R-UIM も同意。
いずれの場合も、カードに記録されている契約に対して課金されるため、電話機本体を取り替えても、継続して利用が可能。ただし、特定のカードしか受け付けないように改造した電話機もある。ほかの通信事業者に「浮気」出来ない仕組みである。そのかわり、本体価格がかなり安くなる。これを「SIM ロック」と呼ぶ。

*5

なじみが薄い
日本では、例えばドコモと契約するなら、必ずドコモが販売している電話機の中からしか選べません。
「電話機は vodafone で売っている SANYO の○○が気に入っているんだけど、契約はドコモにしたい」
なんてことは、昔も今も日本では不可能。

*6

国内主要3社のチップローミング体制整う
これまで IC カード方式を提供してこなかったauが、UIM カード方式のサービスを、2005年9月に開始すると発表。国内販売予定の対応機種は、日立製作所の W32HSony Ericsson の W32S。いずれも、最初に UIM を挿入した時点で SIM ロックがかかる。


そして、本当の意味で便利なのは、「一端末ローミング」。
つまり、いつものケータイを持って、ハワイへ乗り込んでいける、というパターンです。そのためには、先に解説したような、「全部入りケータイ」であることが必須です。

この「一端末ローミング」を実現できる電話機は、2005年春現在で下記の通りです。

携帯電話
事業者
一端末ローミングが可能な携帯電話機
NTT DoCoMo NEC 製 N900iG (メーカ
vodafone 東芝製 902T (メーカ
SHARP 製 902SH および 802SH (902/802
Sony Ericsson 製 802SE (メーカ
Nokia 製 702NK (メーカ*7
Motorola 製 702MO および 702sMO (MO/sMO

SHARP 製 V801SH (2004.4 発売)
SANYO 製 V801SA (2003.12.1 発売) (メーカ

au(KDDI) SANYO 製 A5505SA
(ハワイではパケット通信不可)
*7

vodafone 702NK と NOKIA6630
vodafone 702NK は、NOKIA6630 のボーダフォン向けプロダクトであり、基本仕様はほとんど同じである。しかし両者には微妙で重要な違いがある。

 

 3Gケータイとハワイ旅行、そして落とし穴

ここまでみてきてわかるように、世界標準規格であるはずの3Gケータイは、現実のところあまり普及しているわけではありません。

ハワイ旅行でいつものケータイを使いたいとすれば「全部入りケータイ」、つまり、第3世代携帯電話でありながら、GSM1900 に対応しており、GPRS に対応した携帯電話を購入するしかありません。

とはいえ、そのような機種はいずれも新型機種であることに変わりはなく、かなり先進的で便利な機能を持っていますから、ふだん日本で利用していても、一概に「もったいない」とは言い切れないでしょう。

ただ、気をつけておかなければならないのは、日本国内で利用するときの料金とは、金額も計算方法も違うということです。
割高であることはもちろん、着信時にも料金がかかります。また無料通話分に算入されないなど、制限もつけられたりします。

たとえば、いつも使っている携帯番号への着信をハワイで受けられるのは便利ですが、日本からハワイへの着信転送料が毎回かかります。間違い電話やくだらない?電話の着信ならアタマに来ます。

また、ハワイにいながらハワイの知人に電話する場合も、国際電話と同じ考え方で課金されます。レンタル携帯なら何十セントか1〜2ドルで済むところを、数百円から千円以上かかってしまうことがあるわけです(通話料金のみで比較した場合。基本料金等別)。

多少高くても利便性を優先するのか、それとも現地のレンタル携帯電話を借りたほうが賢いのか。自分のライフスタイルとこだわりを考えて、じっくり選ぶことが大切です。

 


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