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 2008/5/4
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 新型 900(ナイン・ハンドレット)シリーズ

公共性の高い路線バス The Bus は、毎日、朝から晩まで多くの乗客を乗せて、発進・停止・旋回を繰り返しながら、結果としてかなりの距離を走行しています。つまり、一般の自家用車などと比べると、その酷使のされ方は格段のものがあるといえます。バスの車体も年々老朽化しますし、新しい時代の要請に応じたしくみや車内環境を整えていく必要もでてきます。

このページでは、2006年夏から導入が始まった、新型バス「900シリーズ」の紹介と、オアフ全島の運行中のバスを見守り、的確な指示を与える管制センターの様子をレポートします。

これらの写真はバス会社の許可を得て、関係者立会いの下で撮影しています。


900シリーズの外観的な特徴は、なんといってもその未来的なフロントデザインです。ヘッドライトが埋め込まれているパネルは、まるで 刀剣をモチーフにしたような感じがします。

オアフ島の路線バスを運行している Oahu Transit Services Inc. では、これまで Gillig Corporation からバスを購入していましたが、この900シリーズは NEW FLYER 社のもので、ディーゼルと電気の二つのエネルギーを動力として使うハイブリッド・バス 、DE40LF 型です。

価格は1台約60万ドルとのこと。 ざっと7千万円ちかくということになります。これが40台導入されているそうです。値段だけ聞くと、ベンツにぶつけてしまうより、遥かに怖いかもしれません。このバスがこれほど高価格なのにはわけがあります (参考)。

もともと路線バスや観光バスは、基本的な車体設計のうえに、各バス会社が要求する仕様や、特別装備や、塗装といったものが加えられる受注生産方式であるうえに、一般の乗用車ほど大量に生産するわけではない、特殊車両であるという事情があります。


バスは車両が特殊であるわけですが、ベンツの場合は乗っている人のほうが特殊であるといえるのかも!?。
しかしまぁ、ベンツにぶつけるのと路線バスにぶつけるのとではずいぶん条件が違いますな。だいたいバスがへこむ前に自分の乗用車が壊れてしまうでしょうし、公共性の高い会社の何台もあるバスのうちの1台と、特殊な世界の人が保有するベンツとでは「事故処理の段取り」がずいぶんと違ってくることでせう。

 

 新しくなった座席のデザインと配置

さて、中を見てみましょう。
乗車してまず気づくのは、客席の色と材質がこれまでとは違っているところです。シートクッション、シートバックとも一見すると紫色になっています。よく見ると細かい柄があるのは、汚れなど経年劣化を目立たせない工夫なのかもしれません。椅子そのものはこれまでの強化プラスチックに変わり金属材になりました。しかし座り心地が硬くなったということはありません。

床はレインボー・カラーの塗装で印象深かった500シリーズと同じく、低床バスとなっています。
車内前方にある座席はこれまでどおり、車いすの人のために跳ね上げ式になっていますが、前向き座席との間の仕切り板はなく、開放感があります。また、右側の車いす用跳ね上げシートの後ろの座席は、5人がけの横向きに変わりました。

右側車いす用スペースの後ろは、横向きシートになった 左側車いす用スペースの後ろは、仕切り板がない

 

 降車ドアは 「押さずにタッチ」

さて、バスに乗ったら、いつかは降りるもの。降車ドアは中ほどのドアとなっています(混雑時やハンディのある人などは前方ドアからも降車できます)。900シリーズの降車ドアは、ドアにセンサーがついており、@バスが完全に停止している、Aオペレータ(運転手)が降車ドアスイッチを ON にしている、Bセンサーの範囲に乗客の手や体が入る、という三つの条件がそろうと、自動的に外に向かって開くようになっています。

これまでのバスでは、Bの条件が、乗客がドアを押すことによって、自動的に外に向かって開くようになっていました。(古い車両ではロックが外れるだけの手動タイプも)。
ところが900シリーズでは、降車口上部に白く丸いセンサーがついており、この感知範囲にさえぎるものを検出するとドアが開く仕掛けとなっています。

したがって新型バス、900シリーズでは下写真のように、ドアを「押す」のでなく、「TOUCH HERE TO OPEN DOOR」のステッカーを触るようにすると、スムーズに降りられるようになります。

 

 車いすスペースと運転手の見た目

オアフ島のバスは、車いすが2台まで乗車できるようになっています。日本では電動車いすはまだめずらしいようですが、ハワイではよく見かけます。このような少し大きめのタイプであっても、じゅうぶんスペースがあり、簡単に固定することが可能になっています。運転手も手馴れたもので、車いすの乗客を手早くサポートします。

車いす固定用のベルト。複数使って留める 運転席の後ろにあるスペースは、前向き座席も折りたたむ

乗降口の足元を照らすライトは、LED が使われています。

高齢者などのために、乗降時にバスが「ひざまづく」 LED ランプが左右から足元を照らす。降車口にもある

運転席の様子は、GILLIG 社のものと大きくは変わっていませんし、料金箱や運行用システムも同じです。

   

この車体には、自転車を2台取り付けられるバイク・ラックがついていました。ほかに自転車を3台取り付けられるものもあります。

レンタ・サイクルと新型バスでオアフ島をめぐるのもなかなか楽しそうです。

 

 オアフ全島のバスを見守る管制システム

現在、オアフ島を走る路線バスには、GPS を応用した管制システムが活用されています。乗客として乗っているとなかなかわからないのですが、バスが今どこを走っているかや、運転手と連絡を取ったりすることはもちろん、緊急事態のときは車内の様子を管制室でモニタしたり、警察や消防とすばやく連携できるシステムとなっています。

管制室には、4〜5人がそれぞれの担当範囲ごとに、3枚のモニタを監視しながらオアフ全島の運行状況を把握しています。モニタ画面の精細な写真は掲載できませんが、見た目は Google Map などとよく似ています。しかし、ほぼリアルタイムにバスの位置をあらわすマーカーが道路上を動いていたり、バスの状態によって色が変わったりします。万一、非常事態が起きたときは、すぐに画面にアラートが表示されます。

今回は、運行状況の監視をしているアイリーンさんに直接インタビューさせていただきながらの取材でした。
緊張感漂う部屋の中でも、気さくにいろいろとお話をしていただきました。

 

 去り行く200シリーズ

その、まるっこい車体がほのぼのとした200シリーズは、取材時点で20台しか残っていませんでした。しかしこれも、2008年までにはすべてがスクラップになってしまうとのことです。バス好きの筆者にとっては、なんだか悲しいお話です。何かの形で残せたらいいのですが。

取材時にちょうど、1台の200シリーズがレッカー車に引かれていくところを目にしました。バスは、つまり工業製品ではあるのだけれど、筆者の気持ちといたしましては「ドナ・ドナ」なのでございます。

ことし2007年中に、200シリーズに出会ったなら、どうかしみじみと乗ってやってつかぁさい。

 


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