花ぷら10.5(2008/4)
東京駅の地下ホームから、成田エクスプレスに乗る。これもグリーン車指定席だ。当然グリーン料金が別に必要なわけだが、やはり高いだけのことはあると思う。なぜなら、列車のグリーン車や飛行機のビジネスクラスなどは、シートの幅やシートピッチが広いだけでなく、「静か」であることも大きな価値のひとつだと思う からだ。
広い占有スペースは体が楽である。そして周囲が静かであることは、精神的に落ち着く。こういった特別クラスの通路や床は、カーペットが敷かれていたり、カーテンも生地の量が多かったりして、他の乗客の話し声も耳触りに感じない。 空間あたりの定員が少ないし、そもそもそんなに混むことがない。とくに列車の場合は、混雑時に通路に立つ人がいないので、座っていることの罪悪感みたな心の負担がない。
列車の場合、自由席はもちろん一般の指定席でも、混雑してくると通路に人が立ち始める。こちらはちゃんと指定席の切符を買って座っているにもかかわらず、となりに妊婦や、高齢者や、小さい子供を連れたお母さんや、荷物をたくさん持った人が立つ場合があるのだ。こんなとき多くの人は、なんともいえない罪悪感を感じてしまうのではないだろうか。これは実に苦しい。 しかしグリーン車の場合は、グリーン車両に立ち入るだけでグリーン券が必要だったり、通り抜けも遠慮するよう言われるので、通路に人が立つことはない。たとえ混雑しても、あのなんとも言えない罪悪感を感じずに済むのだ。もちろん飛行機に「立ち席」などはないが、ビジネスクラスの場合、ひとりの客室乗務員が担当する乗客数が少ないので、それだけ客への気配りに余裕ができ、サービスも手厚くなる。食事や飲み物が別格であることは当然だし、待合室から飛行機の乗り降りまで、まったく違ってくる。
成田空港にはじゅうぶん余裕を持って到着する。 今回は ANA 利用なので、終点の成田空港駅で電車を降り、第1ターミナルビルを利用することになる。私ひとりなら、定例の第1・第2両ターミナル散策が始まるところだが、今回は到底無理だ。
まずは、空港ビル内を移動するための車いすを借りなければならない。チェックインカウンタがずらりと並ぶ、第1ターミナルビル南ウィングの、ロビーの片隅に、「お手伝いの必要なお客様」と掲示しているところがある。
写真のように、よっこらしょと椅子に掛けて待っていれば、チェックイン手続きを進めてくれる。もちろん同行者の私も一緒に済ませることができる。そしてここで車いすも借りることができる。車いすを借りてしまえば、ある意味「こっちのもの」だ。伯母の歩くスピードを気にすることなく移動できるからだ。体重の軽い伯母の車いすを押すことなど、なんでもない。私がややゆっくり歩いていれば、母も一緒についてこられる。
なおこのカウンターを利用するときは、当日いきなり行くのではなく、事前に航空会社に連絡しておくことをお勧めする。
( ANA お手伝いの必要なお客様へ / JAL プライオリティ ・ゲストサポート / デルタ航空(旧ノースウェスト航空)お身体の不自由な方へのサービス )
チェックイン手続きを終えて、3人で空港見物を始める。ゆっくりと車いすを押しながら歩くと、鳩のように首を回して周囲の様子を見ている伯母が、いろいろと問いかけてくる。 出発口のあたりまで進むと、機内へ持ち込む際に問題となる「液体物」のサンプルが、以前より分かりやすく設置してある。 液体物の機内持ち込みは原則としてできないためだ。
「液体物」と見なされるもののサンプルとして、マヨネーズやケチャップ、漬物パックのような水分を多く含むパック詰め食品、液状化粧品、ボンカレーやウィダーinゼリーのような液状食品、スプレー缶(缶の中は液体だ)、アイスクリームや保冷剤のような凍った液体物、液状の入浴用品、おでん缶やフルーツ缶のような水分を多く含む缶詰食品、みそ、ゼリーやヨーグルト、水分を多く含むびん詰め食品がずらりと展示されている。
そしてこのようなものを、どうしても持ち込みたいときの方法として、100ml 以下の小さな容器に入れ、さらにそれをタテヨコの長さの合計が 40cm 以下の、透明の、ジッパー付きの、ポーチなどに入れておくことが説明されている。
(参考情報/1.成田国際空港 2.日本旅行業協会 3.国土交通省)
第1ターミナルビルは、中央ビルと呼ばれる棟を中心に、北ウィング、南ウィングの両棟が伸びる格好の空港ビルである。そのワンフロア全域を回ることは、私にとっては大したことではないが、歩いてついてくる母にとっては疲れてしまう距離だ。中央ビルを中心に、あまりビルの端の方までは行かないようにする。
「見物散歩」を終えて椅子に掛け、ボーディングパス(=搭乗券)をあらためて見直す。「C」と表記してあるのが、ビジネスクラスのしるしである。エコノミークラスであれば、記号は「Y」となる。ただ、この記号付け規則は航空会社によってやや違ってくる。 なぜビジネスクラスは「B」でなく「C」なのかということがときどき話題になるが、もっともらしい説では、かつてのパン・アメリカン航空(パンナム)が特別クラスを設けた時に、クリッパー・クラス(Clipper Class)と呼んだのが始まりだとのことだ。そしてエコノミークラスが「E」でないのは、ファーストクラスの「F」よりもアルファベット順が先になって具合が悪いからという説がある。こちらのほうはウソっぽい気もするが、意外と真実かもしれない。欧米ではリストの順番をアルファベット順に並べることが当たり前なので、事務手続き上も意味があることだと思う。
ちなみにエコノミークラスは、さらに多くのクラスに分かれるのが普通である。乗客がわかる形で表記する場合もあれば、チェックイン・カウンタの職員や客室乗務員などにしかわからない形で処理される場合もある。これはようするに、「いくら払ってエコノミー席を買ったか」という記号である。
搭乗客にとってこの「見えない差」が大きく効いてくるのは、キャンセル待ちの時やトラブル対処の時だ。同じエコノミークラスの客であっても、そのチケットをいくら払って買っているのかによって、対応に差がついてくるというわけだ。まぁ、当然といえば当然な気もする。よほどのことがない限り、ハワイ旅行のエアチケットを「普通運賃」で買う人はいないだろうが、エコノミークラスチケットを普通運賃で買っていれば、同クラスの最上の客として位置づけされる。もっとも、これといった出来事やトラブルがなければ、特別何も起きるわけではないが。
ちなみに2008年春~夏の期間、エコノミークラス普通運賃で成田とホノルルを往復する場合、一人約40万円である(やや制限を設けたものでも約30万円)。
【普通運賃】
ANA の場合、エコノミークラス普通運賃で購入していれば、ビジネスクラスの人が利用できるラウンジを同様に利用することができる。またハワイ路線には設定がないが、エコノミークラスとビジネスクラスの中間的な座席「プレミアムエコノミー」でも、特定の運賃種別で購入していれば、ラウンジが使用できる。








